Story of the Christmas tree / クリスマスツリーの物語
クリスマスカンパニーには、毎年さまざまなお客さまがお越しになります。初めていらっしゃる方はもちろん、長く通われてくださる方、お久しぶりの方など、そのおひとりおひとりのクリスマスに少しだけお手伝いできることは、私たちにとって大きな喜びです。今日は、3つのエピソードをご紹介したいと思います。

ひとつ目は、40年にわたりオーナメントをコレクションされている男性のお話です。以前アメリカにお住まいだった頃に本場のクリスマスを楽しまれ、それ以来長くクリスマスデコレーションを楽しまれていらっしゃいます。今年は、当店のツリーと新作オーナメントを迎えてくださいました。後日いただいたお写真には個性豊かなオーナメントが枝先にたくさんついた圧巻のツリーが写っていました。
大勢のサンタクロースが赤、白、ゴールド、ブルーなどいろいろな衣装を着て、車に乗っていたり、木馬に乗っていたり。エンジェルやキャンドル、セーターに靴下にミトン、アメリカの国旗のデザインが施された文化を感じるものなど。ガラスはもちろん、木製、プラスチック製、布や毛糸など多くの別の素材のオーナメントが見事に調和し、長年のセレクトの確かさがそのままツリー全体の品格となって表れていました。
長く大切にしてくださっているコレクションの一部に当店のオーナメントを加えていただけたことを、心から光栄に感じました。
2つ目は、毎年ご家族4人でオーナメントを選びに来てくださるお客さまです。ご結婚された頃から通ってくださり、お子さまが生まれてからは、それぞれがその年のオーナメントをひとつ選ぶのがご家族の恒例に。小さかったお子さま達も大学を卒業され、すっかり大人に成長されました。
「150cmのツリーでは飾りきれないほどになってきたから、そろそろ大きなツリーにしようかな。でも、娘の選んだオーナメントは嫁入り道具になるのかしら。」
毎年少しずつ飾りが増えていくクリスマスツリー。どんな会話をして飾り付けをし、クリスマスを過ごしてきたのでしょうか。どのオーナメントにもきっと物語が宿り、長い時間をかけてご家族の「クリスマス」が形づくられてきたのだと感じます。そしてそれはこの先も続いていくのだと、そんな会話を交わしながら仲良く店内を巡る姿に、胸がいっぱいになります。

3つ目のお客さまも、お子さまが小さかった頃からオーナメントを選んでくださっているご家族です。
先日「長く飾ってきたオーナメントを、これからも使い続けたい」
とご相談がありました。小さかった頃のお子さまと選んだイタリアの「ベビーファースト」のガラスのオーナメントや、インゲグラスのオーナメントでした。取り付け部分が年月とともに少し弱ってきていたり、パーツが外れてしまったりしています。
「どうにかならないかな」とお子さまも一緒に考え話し合われて、こちらを訪ねてくださいました。
長く飾ってこられた思い入れのある品だけに、私たちもそのお気持ちに応えたいと、修復できない可能性もお伝えしたうえで「それでもよろしければ」とお預かりし、これからも飾れるよう、できる限りのリペアを施しました。ご家族の思い出の詰まったかけがえのないオーナメントをお預かりして無事にお渡しすることができて、ホッとしています。
クリスマスカンパニーのお客さまは本当に素敵な方が多く、特に長く通ってくださる方々は毎年私たちもお会いするのが楽しみです。
ご家族で来店されるお客さまを見ていると、小さかったお子さまが成長され、どのお子さまも穏やかで、人への気遣いが自然と身についていることに気づかされます。高校生や大学を卒業された年齢になっても、ご家族そろってクリスマスの買い物に来られる姿は、最近ではあまり見られない光景かもしれません。それだけ、クリスマスを家族で迎える時間を大切にしてこられたことが伝わってきます。
毎年オーナメントを選ぶ小さな恒例が、いつのまにか情操教育のように働き、物を大切にする心や、自然と良いものを見分けられるようになり、子どもたちの成長を静かに支えてきたのだろうと感じることが多いのです。そんな温かな歩みに寄り添えることを、私たちもありがたく思っています。