Nussknacker 〜くるみ割り人形のお話 〜

 

12月に入って冷え込む朝が続き代官山は穏やかな初冬の空が広がっています。北の方では雪が積もっているとニュースで伝えていました。輸入先のドイツも記録的な寒波と大雪に見舞われています。


ドイツとチェコの国境に位置するErzgebjrge(エアツキビーケ)と呼ばれるエルツ山脈地方もまた雪の季節を迎えています。
この地域は伝統的な木工品のおもちゃや置物を作ることで世界的に有名です。
ろうそくを灯して上昇気流で上部の羽を回して楽しむ「ピラミッド」、お香をセットして煙を出す「煙出し人形」、オルゴールや小さなフィギュアなど、見る人の心を和ませるものを職人達が作っています。
その中でも「くるみ割り人形」は、クリスマスに飾られることが多いアイテムです。

古代より胡桃は栄養価が高く長く保存ができるので貴重なタンパク源でした。そのため殻の硬いくるみを割るために多くの工夫がなされてきました。

最初はちょうど良い大きさの石でくるみを割っていたことが、発掘調査などで明らかになっています。文明が進化するにつれ、紀元前200年のイタリアで青銅製のくるみを割るための人形の形をした青銅の道具がすでに作られていたことが発見されています。その後金属製のくるみ割り人形が作られ、木製のものが初めて作られたのは16世紀のイギリスやフランスでした。初期のデザインは鳥や動物、人間の形をしていました。その後17世紀に入り現在の兵士や王の形をした、立っている木製のネジ式くるみ割り人形がドイツで作られます。


この頃、エルツ山地の住民は自然の中の国境に位置していたため、国の厳しい監視下にあり時には移動までも制限されていました。エルツの木工職人達はくるみ割り人形を王様や兵士など権力者をデザインにし、野生的な眼、むき出しの歯、苦しみの顔をした立ちっぱなしの道具にして、くるみを割らせて政治的な鬱憤を密かに晴らしていたようです。
時が経つにつれ、人形の姿は少しずつ柔らかくなり、力強い顔つきの冬の魔除けの守り神として知られるようになっていきます。
同時期にロシアではバレエの人気が高まっていました。ホフマンのおとぎ話「くるみ割り人形とネズミの王様」に基づいてバレエが誕生します。クリスマスイブから始まるそのお話は、クリスマスとくるみ割り人形を強く結びつけたと言ってもいいでしょう。

くるみ割り人形にはとても深い歴史がありました。現在ではほとんどが装飾用に変化し、実際にくるみを割ることはなくなっていきました。クリスマスカンパニーでは、伝統的な兵士や王様のタイプの他に、サンタクロース、おもちゃ売り、煙突掃除人など種類、サイズ豊富に取り揃えております。どれもドイツの手作業の職人技が光り、美しい色使いの手描きの置物で、コーディネートを一気にグレードアップしてくれます。
本物の手作りのクリスマスを存分に味わってください。

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