Knick-knack

「雑貨屋さんって、どの辺にありますか?」
先日、遠くから訪れてくださったお客様に、そんなことを聞かれました。

雑貨屋さん、と聞いてみなさんが思い浮かべるイメージとはどんなものですか?
雑貨とは、広辞苑では
「雑多の貨物。また、こまごまとした日用品」と書かれています。
雑貨屋さんには、幅広くいろんなタイプのお店があります。扱うものは小さくて可愛いものから大きくてジョークみたいなもの、古いものも新しいものもあったり、一点物から大量生産のものまで。キッチン用品や文具にはじまり、趣味の関係も含めて、あらゆる日用品を売っているお店たちに特色がそれぞれにあります。
海外から輸入したり、オリジナルで商品を作ったり、限定的で他店には売っていないものを取り扱うことは、その店のひとつの誇らしさでした。

1980年代、代官山はこだわりのある街でした。アパレルのフラッグシップショップや、雑貨専門店(私たちはここに属します)があり、そこを目指した若い子がちょっと、すまして歩く大人な街でした。
憧れのアパレルショップがある一方で、裏路地には小さな雑貨店があり、「探すよろこび」もありました。
2000年に同潤会アパートの跡地に、代官山アドレスが誕生し、少し空気が変わります。
個性的なオーナーがいるような、雑貨屋さんも様々な理由で、少しずつ代官山から姿を消していきました。雑貨屋さんを続け、維持することはとても大変なことです。
「代官山でしか、買えない」とか「本当に良いものをやっと買えた喜び」とか、そういう価値観が移り変わって行くような寂しい気持ちにもなります。

冒頭のお客様は、
「代官山に来たら、雑貨屋さんがたくさんあると思っていたの」と。
たしかにお客様のおっしゃる通りで、すぐにご紹介できるお店が少なくなってきてしまったことを、改めて考えさせられました。
昨年は、創業時代の代官山の話をするお客さまも多くいらっしゃいました。コロナ禍の影響を心配してくださり、
「今年も開いていて安心したよ」
「ここは変わらないねー」
「ずっとお店を続けて欲しい」
というお声をいただきました。
クリスマス専門店が「変わらないもの」として代官山にいつもあることに意味があるような気がしました。これほど幸せな事はありません。

一方で最近、若いお客様が増えてきたと感じています。
クリスマスカードをじっくり選ぶ女の子がいたり、スノードームの前で真剣に違いを比べている男の子。お友達同士で、ネットの写真を携帯電話で確認しながら、何かを楽しそうに探している様子もあります。
実際にものを見て触ることで、得られるものもたくさんあります。「雑貨好き」という今となっては使われなくなってしまった言葉を思い出し嬉しく思います。

ヒルサイドテラスのある旧山手通り沿いは、見上げれば東京の空が広く近くに感じます。
肌に当たる空気も清々しく良い季節になりました。
ぜひ、クリスマスカンパニーの雑貨たちに会いに来てください。今日もお店の扉を開いてお待ちしています。

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