Incense cones 〜お香の話〜
11月も下旬になり、気温が下がり一層寒く感じます。私たちも「クリスマスがやってきたね」とスイッチが入る季節になりました。
皆さんは、どんなことでクリスマスの近づきを感じますか?街に増えるクリスマスツリー、キラキラのイルミネーション、流れてくる音楽、行き交う人々もソワソワ、ワクワクしているように見える雰囲気がお好きな方も多いのではないでしょうか。
ヨーロッパでも同じように雰囲気が高まりますが香りは大事なクリスマスのアイテムです。
リアルなモミの木は力強い大地を感じさせます。クリスマスマーケットではホットワインのスパイスの香り、クッキーやシュトーレンを焼くときの香ばしさ。日本では珍しい匂いも嗅ぐことができます。
そしてなんと言っても「お香」
クリスマスとお香はとても密接な関係にあり、欠かせない昔からの風習のひとつです。
お香の歴史は古く、2000年以上前から焚かれていたという資料もあります。もともとは世界の各地域に自生する植物をベースに、乾燥させ火をつけて煙を吸う、というとても原始的な営みでした。その中でも香りが良く、濃い煙が上がるものをミックスさせてながらだんだんとお香として用いられるようになります。中東、インド、アフリカ、ヨーロッパのそれぞれの人々にとって貴重なものとして大切にされてきました。
貴重なものはお香に限らずどの時代でも、最初は互いに分け合うようになり、その後身分の高い人への贈り物となっていきます。
お香も何世紀にもわたって、悪霊の空気を浄化する方法として、宗教儀式やその他の重要な行事に使用されました。さらに貿易にも使用され、非常に貴重な商品として様々な役割を果たしてきました。
キリスト教の聖書の中では、イエスの誕生の際に三人の賢者が贈り物の中にお香が含まれています。ドイツのクリスマスは12月25日から1月6日までの12日間間続きます。宗教の伝統的には、この12日間にはそれぞれ意味があり音や光、そして最終日の1月6日に焚くお香を通じて世界の忌まわしいものが浄化され、追い払われるとされています。
コーン型のお香は、ドイツ中の薬剤師によって消毒剤や薬として作られました。空気清浄、除菌、消臭効果があり、多くの一般的な病気に効果的な治療法であると信じられてきたのですが、実際に防腐作用と炎症作用があることが現代においてわかってきました。
冬が長いドイツでお香を嗅ぐことはリラックスし心と身体を癒し、健康な春を迎えるための知恵だったと言えます。
今は多くの人々がお香のアドベントカレンダーでクリスマスが来るのを楽しみに待ったり、クリスマスシーズンの終わりを記念して、お香に火をつけて煙出し人形に入れたり、お皿に載せたりしてクリスマスをお祝いしています。
小さな塊は、クリスマスの家の中を香りで満たすのに充分な大きさです。
今年は、お香を焚いてクリスマスのスイッチを入れてみませんか?