Expeditionary notes 〜 INGE-GLAS を訪ねて④ 〜
インゲグラスオーナメントには、いろいろな装飾が付いているものがあります。特別な接着剤で、もちろん手作業で貼り付けていきますが、ここも巧みな技ばかりでした。
インゲグラスらしいのは鳥のオーナメントです。ヨーロッパではクリスマスのオーナメントに鳥を飾ります。鳩、コマドリ、ジジュウカラ、、、想像上の鳥もあり非常に人気のあるアイテムです。
全ての鳥のオーナメントには、羽かファイバーグラスで作られた尾がついています。特に尾は伝統的なデザインで、接着剤をつけた尾をガラスの切り口に入れ取り付けます。広げ過ぎては大袈裟に、束ね過ぎても物足りないという、絶妙なバランスで広げていきます。何百個も同じクオリティで仕上げるのは、想像を超えた労力なのだと思います。
他にも、サンタクロースに付ける小さなツリーやスノーマンに付けるほうき、エンジェルの背中には羽、中にはスワロフスキーがついたものもあります。それらを丁寧に取り付けます。
全ての装飾が完了すると、品質管理検査を受けます。この検査に合格したものだけに星型の冠が取り付けられます。ドイツのブロウグラスと手描きの職人技を保証する印です。
高品質を維持するために、もちろん手作業で梱包作業に入りますが、作業というより何かショーを見ているような時間です。紙の箱に緩衝材として紙をくしゅくしゅにして入れます。その中にオーナメントを入れシールタグを取り付け、ふたをします。完成した箱を積み上げ、倉庫へ運びます。ここから世界各国へ飛び立って行くのです。
一つの箱に6個入っているような箱もあり、その場合は、同じ作業を手際よく行います。
この6個入りや12個入りの箱に入り、更にダンボールに入れられて入荷します。日本までほとんどが割れずに届きます。このエコな梱包がいかに高いレベルで耐破壊性を確保しているかを証明しています。
これでオーナメントは完成です。
今回、一番にお伝えしたかったことは
「どんな部門にエキスパートがいる」ということです。どの工程でもエキスパートの職人達がおり、専門的で高度な技術、豊富な経験と深い知識や判断力を垣間見ることができました。
そのプロフェッショナルの集大成として、ひとつのオーナメントが出来上がるのです。
インゲグラスが長く愛されている理由を、工場見学を通してお話してきました。おそらく彼らが使う筆や塗料、工業製品の先にも多くの職人が存在しているのだろうと思います。インゲグラスファンの方々や、初めて本物のグラスオーナメントを見る方々に、ドイツから遠く離れたこの日本でご紹介できることが私たちの役割であり、幸せです。
この後、インゲグラスのミュージアムへも訪れました。その物語はまた改めてお話します。