Christmas Wreath
アドベントの3本目のキャンドルに灯をともす週末を迎えます。
街を歩いていると玄関にクリスマスリースがかかっているドアを見かけることが増えてきました。
伝統的なもの、華やかに彩られたもの、シンプルなデザインのもの、、、様々なリースで飾られたドアはクリスマスの訪れを喜んでいるように見えます。
リースは英語で「wreath」と書き、花輪、花冠、冠、輪状と訳されます。花や葉っぱ、木の枝や蔓などを使って丸い形を作ります。
古代ギリシャ時代が発祥と言われ、特別な行事や結婚式などに身に着ける装飾品とされたり、芸術家と呼ばれる識者や戦いの勝者に権威付けとして贈られるものでした。現代でも、オリンピックやスポーツの優勝者に月桂冠が贈られるシーンを目にします。生命力が高い常緑樹を使用した冠は、最も価値があるとされていました。
その後ローマ時代になると一般にも広まり、ドアや壁にかけるリースが誕生します。人々はリースを贈り合うようになり、ドアにかけられた価値のあるリースは一つの社会的なステイタスであったと考えられています。権威付けの意味だけでなく、家の魔除けとしての意味を持ち始めるのもこのころです。ローマ皇帝がキリスト教を国教にしたことで、元々定着していたリースを飾る生活文化とキリスト教の宗教文化が混ざり合いました。
教会はキリスト教的に「常緑は生命力、丸い形は永遠を」と解釈し、クリスマスにリースを飾ることが宗教的にも意味を持つようになったのです。魔除けだけではなく、農作物の豊作祈願や新年の幸福祈願としても使用される現代の形になっていきます。リースに飾られる材料や色にも、それぞれの意味や込められた願いがありますが、またそれは別の機会に、、、。
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クリスマスリースを見ていると、その素材の種類が豊富であることに気が付きます。クリスマスカンパニーの店頭でも、「見た目で違いがわからないの」というお声をいただくことがあります。ここで、各素材の特徴をご紹介いたします。
*生花(切り花、フレッシュ、生(なま))のリース
お花屋さんにあるような、生花を使ったリースです。美しい緑色をした常緑樹の鮮やかさは剪定しても続き良い香りがし、自然の質感が私たちを魅了します。ですが、その質感はだんだんと失われていきますので、丁寧に水を与えたり霧吹きで一日数回水を吹きかけることが必要です。生花の種類にもよりますが、2週間から1ヶ月ほど緑色を楽しむことができます。
*ドライフラワーのリース
生花を自然乾燥や機械乾燥をさせたものが一般的です。花の中の水分をほとんど抜くので花の種類に向き不向きがあります。ドライフラワーの素朴で落ち着いたナチュラルなカラーは、時間がたつにつれアンティークのような雰囲気が出ます。最近では、薬などの有効な成分を利用して色を付けたり抜いたりすることも可能になりました。直射日光と湿気を避けて保管ができれば、数ヶ月から、ある程度の劣化はありますが翌年も楽しむことができる素材もあります。
*プリザーブドフラワーのリース
プリザーブドは「保存された」という意味。生花から水分を抜き、保湿成分と色素を含むプリザーブド液を吸わせ長期保存が可能になったお花です。条件が整えば3年から5年経っても色あせることはありません。手入れは、長期間の保管のためにはほこりを防ぐためにショーケースに入れる必要があります。また加工に手間と時間がかかるため、商品価格が高くなる傾向があります。
*アーティフィシャルフラワー(高品質造花、アートフラワー、シルクフラワー、フェイクフラワー)のリース
近年の造花のクオリティは高く、本物そっくりに作られているものも増えてきました。また、ラメがついていたり、デザインや色、大きさが架空のお花、グラデーションをはっきりさせたものなどもあり、アレンジの幅は劇的に広がりました。価格もグレードにより様々です。軽くて扱いやすいので、いろいろな場所で、使用できます。水洗いできるものもあり、半永久的にお使いいただけます。
それぞれに違った魅力があり、特徴を理解し組み合わせてクリスマスリースを作ることもあります。また草花だけでなく、クリスマスのオーナメントやリボンを使ってデコレーションすることもできます。もちろん自分で作ることもできますが、リース作家と呼ばれるプロの作品は作り手によって異なる表情を見せ、一点ものの出会いは一期一会が多く、「まるで恋に落ちたようだ」という人もいます。
ぜひ、そんな出会いを楽しんでいただけたらと思います。